私が経営する株式会社ナルキュウは創業60年を迎えた小さな運送会社です。叔母から会社を譲り受けて22年、「小さな運送会社でも必ず大手に勝てる!」という思いを抱きながら業績を積み上げてきました。社是は「小さな一流企業を目指して、社会に貢献できる人づくり、会社づくり」です。
我われの業界は、99%が中小零細企業で成り立っており、実にコンビニとほぼ同数という、6万事業社以上の小さな会社が凌ぎを削り、生き残りをかけています。特にここ数年で同業者数は増え続け、ますます競争が激化してきています。その要因の1つには、運送業界特有の孫請、曾孫請までも珍しくない下請構造があること。もう1つは、規制緩和で最低5台のトラックから新規の運送事業者が開業できるようになったことです。
さらに、国土交通省は2015年に14万5000人のドライバーが不足するとの予測を発表しました。少子高齢化、若者のクルマ離れ、「中型免許」制度などの法規制などで運送事業を支えるドライバー不足が広がってきています。
これからの時代、小さな運送会社が力強く生き延びるためには、「ドライバー育成」が最重要課題です。1人の優秀なドライバーを育てると、良い影響が周囲にも広がり、プロドライバー集団がつくれるようになります。プロドライバー集団をつくることで、運送事業者の「悩み」は半分になります。私の会社には、20代の若手のドライバーがたくさん入社してくれるようになりました。小さな会社ですが、大手に引けを取らない、きめ細かな個別指導法や育成責任者制度を設け、全国トラックドライバー・コンテストで上位入賞を果たしています。
本書では、私が実際に試行錯誤して成果の出た、人材の採り方、育て方を公開しています。人材採用から新人教育、セールスドライバー育成、評価方法、給与システムまで、荷主の満足度を高めるノウハウを公開。小さな運送会社を売上15倍、全国6拠点100名の物流企業グループへ成長させた、問題ドライバーも優良ドライバーになるプロドライバー育成の実践方法です。著者は、コンサルタントなどではなく、22年間小さな運送会社を経営してきた現役社長ですので、「現場で役立つ」ノウハウが満載となっております。